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この前マスターがね、教えてくれたんだ。
「俺の弟、関東で店やってんぜ☆」って。
ワイルド系イケメンなマスターのことだから、弟さんもさぞかしイケメンなんやろうなぐふ腐。
マスター×マスター(弟)、バイト×マスター(弟)とか色々妄想してたらこれは早急に拝みに行かなければってことで勢いでここまで来ちゃった(しづぺろ
あっ、予想以上にキモい。すんまそww
まあ気持ち悪いのは置いといて、
マスターにkwsk弟さんのことを聞いてみるとなんと!弟さんってば自家製のフルーツジュース作ってるんだって。しかも超絶美味いんだってよ!
頼めば果汁100%の桃ジュースも作ってくれるって言われたらもう…。
ーーってことで関東なう☆
一人じゃ不安やから旬輝とミコちゃんにも着いて来て貰ったけど…。
まさか迷うなんてね。
それもこれも旬輝の馬鹿のせい……いや、その馬鹿に地図持たせた俺の責任か…。
「シーちゃんは悪くないわ。…こいつが持つって聞かなかったんですもの、仕方ないわ。あそこで止めなかったアタシも同罪よ」
「ミコちゃん…」
肩をポンと叩かれて淑女のような慈悲深い笑顔を向けられる。ミコちゃんが女神に見えた。
それに比べてこの馬鹿は…
「おい、雨降って来たで!俺傘持ってねえ!」
「「………」」
俺とミコちゃんの表情が一瞬で“無”になった瞬間だった。
「……ごめんなさい。こういう時どんな顔すればいいかわからないの…」
「…………笑えば、いいと思うよ……はは…」
渇いた笑いしか出てこない。
これほどこいつを殴り飛ばしたいと思った日があっただろうか、いや、多分ない。
これは俺が楽しみにとっておいた桃ゼリーを勝手に食われた時のを上回ってる……かもしれない。
ポツポツと徐々に激しさを増して来た雨が、このなんとも言えない重苦しい雰囲気に拍車をかけている気がする。
このままじゃ風邪引いちゃう。
「ミコちゃん、どっか雨宿り出来るとこ探そう」
雨で濡れた髪を掻き上げながらミコちゃんを振り返る。
少し反応が遅れて頷きが返ってくると、俺は小走りに走り出した。後ろを着いてくる気配を感じたら徐々に走るスピードを早めて行く。
早くしないとビショビショになっちゃうかんね。ああ、髪の毛長いから鬱陶しい…。切ろうかな。
旬輝が後ろで何か喚いてるのはスルーの方向で。
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