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「ふおぉ…おっきい…」
「何してんの。早く入って」
「はーい」
子供みたいに片手を上げて「おじゃましまーす」と入ってくるそいつを見てため息が出る。
何でこんなことになったんだか…。
あれから俺は自分の家へ帰ってきた。…変態女を連れて。
まだ雨は止みそうにないし、パンツパンツうるさいし、…風邪でも引かれたら後味悪いから仕方なく家に上げてやったけど……。
「おっスマブラあるじゃん!なっ!やろうよ、俺強いよ!?」
「ちょ、勝手に人ん家の物漁んないでよ。じっとしてろ!」
「あ、ご、ごめんなさい……ってマリカーもある!うあぁやりたい」
「じ っ と し て ろ ?」
「ハイ…」
やっぱり放っておけばよかったとすごく後悔。
床が水浸しになる前にタオルを渡して、じっとしてるように念を押してから風呂場へ向かう。幸い、うちで雇っている家政婦がお湯を張っておいてくれたためすぐ入れる状態だったので着替えを持ってリビングに戻ると、変態女は今度はちゃんと言い付けを守っていたようで大人しく正座して待っていた。
「これ着替え。風呂はあっち。脱いだ服は洗濯機に入れといて」
「う、うん、わかった」
こくこくと何度も頷いて俺の話を聞く姿にはまあ悪い気はしない。
風呂場へ向かう背中を見ながら、ふとアレを忘れていたことを思い出した。
「あ…下着」
「え?」
そういえばさっき渡した着替えの中に、下着は入っていない。
あれだけパンツが濡れただのなんだの言ってたのに、俺としたことが下着を用意するのを忘れていた。
でも困ったことに、うちには女物の下着なんて母親のものしかない。しかも何かド派手な…布の面積が少ないやつばかりだった気が…。
流石にそんな物を俺と同じ歳くらいの(一応)女の子に渡せる訳が無い。例え新品であっても。
俺のだったら新品もあるし、サイズも合うだろうけど…男物だ。
どうしたものかと悩んでいると、変態女から一言。
「君さえよければパンツ貸してくれない?」
「は!?」
「え、あっ、やっぱ嫌だよね!?ごめん!」
「い、いや…ぇ、誰のパンツ…」
「え?君のパンツ…」
「は!?」
「あっ、ちがっ!べべ別に君のパンツをクンカクンカしようとかそういう邪な考えの上に言ってるんじゃなくてですね!?」
「は?」
「アッ、ゴメンナサイ…」
そんなことしたら女でもぶっ飛ばすからな本気で。
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