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「……」
誰もが寝静まる深夜、
男はふと目を覚ます。
起き上がり、
意識がはっきりしていないのか、ゆらゆらと揺れながら真っ黒な衣装に身を包む。
手探りで何かを取ると、それを慣れた手つきで頭に付けていく。
閉じていた眼を開くと、そこから見えたのは燃えるような紅だった。
最後に深くフードを被り、
男はひっそりと闇に溶けていった。
パタン…
と扉の閉まる音が静かな部屋に響く。
男の名は『鴉-カラス-』。
誰もが認める闇の住人―――…
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