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ニコッ
俺達に気付くと、ピノは人懐っこい笑みを浮かべた。
サアアアアアアア…
再び風が吹き、ピノは砂で作った人形が崩れ去る様に消えて行った…
「ああ!?…そんな…ピノ」
その風に吹き流されるように、闇もまた崩れ去ってゆく…
風で絵画に付着した埃を吹き流すように、漆黒の闇が小さな粒になって剥がれてゆくと、雪の上に残ったのは…
無数の人、人、人、人…その全ての人達には、共通の違和感がある。
「ま、ま、まさか…
これ全部、お、お化けなの?」
智恵は身体を震わせながら、俺の肩にしがみつく。
どこか輪郭が曖昧で、皆、無表情…そして全ての人達に影が無い。
「あ、誰か倒れてる!」
輪郭のぼやけた人混みの中に、
俯せに倒れているカリムを見つけ、智恵が指差した。
全てのゴーストが、一斉にカリムの方を振り向いた。
((…あ……とう…))
微かな声が心に響くと…数人の影が細かい粒子となって消えゆく。
((…ありがとう…))
((………ありがとう、カリム))
バンッ
「わ!?」
「きゃっ!?」
全ての影が…消えた。
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