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村は完全に雪に埋もれ、小さな丘が点在するだけの、白い平原の様になっていた。 平原に出来た小さな膨らみからは、それぞれ長い煙突が突き出ていて、その下に家が有る事が解る。 先に智恵達が帰った為、キラの家に通じる道だけが少し低くなっていたので、辛うじて迷子になるのは避けられたようだ。 ガチャガチャ… 雪を掻き分け、ようやく扉を掘り当てる。 扉を開けようとドアノブを回すが、押しても引いても扉が開かない。 智恵が一度、溶かした為に雪が水になり、それが外気で冷やされて凍り付いてしまったようだな… 「“フレイム”」 炎の呪文を唱えながら、扉の隙間を人差し指でなぞると、シュウシュウと音を立てながら氷が溶けていった。 ボンッ! 「のわ!?…痛ってぇ~…」 扉が炎と共に中から吹き飛んできた。 扉にしこたま顔面を強打され、鼻を押さえて、その場にうずくまってしまった。
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