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「大変大変!ヒロ、チエちゃんが何処にも居ない!」
開口一番、智恵が言ったのは謝罪でも労いでも無く、更なる驚愕の言葉…
「え゛ぇ!?、こんな雪の中、一体どこに行ったんだ!?
ヤバい、すぐに探さないと!」
涙目で立ち上がり、チエの足跡を追跡する呪いを掛けようと振り返ったが、目の前には雪の壁…
家に着いた時にエアロシェルターを解除していたので、風のトンネルは雪の重みで潰されている。
ちょいちょい、と、智恵が背中を指で突くので振り返ると、何やら文字の書かれた白い紙切れを差し出してきた。
「こんな手紙がテーブルに置いてあったんだよ!
どうしたんだろう…チエちゃん」
智恵の持っていた紙に書かれていたのは、たったの2行…
“良い子で留守番しててね。”
“弘子”
「か、母さん!?…良い子でって…
何考えてんだ!?凍死しちまうぞ!どうすりゃ良いんだ…
カリムは目を醒まさないのか?」
智恵が困った様に頷く…
「起こそうとしたんだけど…
叩いても燃やしても駄目なの…」
燃やすなよ…
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