episode 1

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嘘。 楽しくなんてなかった。もちろん写真だって撮ってない。でもそんなことは言えない。だって彼女、本当にデスティニーが好きなんだもん。そんな子の前で流石に「楽しくなかった」だなんて言えるはずがないよ。 まぁでも、ピーパータンが出てきたところだけは私も思わず叫んでみたけどね。そしたらこっち向いてまさかの投げキッス。 あれは良かった。もしかしたらあれだけの為に私は朝からデスティニーランドにいたのかもしれない。そうだ、そうに違いない。あんなイケメンに投げでもキスをされちゃうなんて、最高だね。私ついてるぅー。 なんてね。そこまで思いはしない。 「うえー、めぐちん気持ち悪いよ、その顔。笑顔、笑顔、むにーん」 「亜美、うっさい。て言うかやめなさい、この手」 「ふえぇ……」 ちょっと待って。今、私はどんな顔をしていたのだろう。 満員電車の中で、そこまではしたない顔をした覚えはないけど、そんなに気持ち悪い顔をしてたのだろうか。 「まさに『ぐへへ』とでも言いそうな顔だったよ、ホント。そんなカッコいいやついたぁ?」 「え、ちょっと有希! それはない! さすがの私もそこまで男に飢えてない!」
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