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嘘。
楽しくなんてなかった。もちろん写真だって撮ってない。でもそんなことは言えない。だって彼女、本当にデスティニーが好きなんだもん。そんな子の前で流石に「楽しくなかった」だなんて言えるはずがないよ。
まぁでも、ピーパータンが出てきたところだけは私も思わず叫んでみたけどね。そしたらこっち向いてまさかの投げキッス。
あれは良かった。もしかしたらあれだけの為に私は朝からデスティニーランドにいたのかもしれない。そうだ、そうに違いない。あんなイケメンに投げでもキスをされちゃうなんて、最高だね。私ついてるぅー。
なんてね。そこまで思いはしない。
「うえー、めぐちん気持ち悪いよ、その顔。笑顔、笑顔、むにーん」
「亜美、うっさい。て言うかやめなさい、この手」
「ふえぇ……」
ちょっと待って。今、私はどんな顔をしていたのだろう。
満員電車の中で、そこまではしたない顔をした覚えはないけど、そんなに気持ち悪い顔をしてたのだろうか。
「まさに『ぐへへ』とでも言いそうな顔だったよ、ホント。そんなカッコいいやついたぁ?」
「え、ちょっと有希! それはない! さすがの私もそこまで男に飢えてない!」
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