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「ホントかなぁ。それじゃあ携帯の待ち受けにあるあの画像は一体なんなんだか」
うん、ごめん嘘。ホントはかなり飢えてます。今にも五人くらいの男の人に声をかけられないものかと心では必死に叫び声をあげてます。
そしてその画像、いつ見ましたかあなた。
あれは『星の王子さま』で私がパートナーにしてるピーパータンそのものじゃないですか。
例え超リアルなグラフィックで現実世界の人と見違えるくらい繊細な画像だったとしても、見られたくなかったです。
ああ、またこれで黒歴史が一つ増える。
「え、なになに、めぐちんどんな待ち受けにしてるの?」
「ちょ、なんでもないって! あ、こら! 鞄の中を漁るな!」
そうして私の鞄をガサゴソとめちゃくちゃに荒らしていく亜美。
何て言うか、ここまでくるとさすがに面倒くさい。
そろそろ友達といるのも苦痛になってきた。
と、私がそう思い始めたその時、ようやく私の降りるべき駅の名前がアナウンスで流れた。
地獄に仏とはまさにこの事だ。
『間もなく、下北沢、下北沢────』
私は友達に「ばいばい」とだけ言い残すと、さっさと電車を降りてしまった。
そして私の後ろで、私と同じように「ばいばい」と言って手を降る女の子が三人。
そんな彼女達につられて、私も小さく手を振った。
よし、これでようやく私の自由な時間が始まる。
電車の扉が閉まる音と共に、そう意気込んだ私はふと夜空を見上げた。
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