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12月25日、午後7時50分。
その日その時、踊るように響き渡る人々の雑踏の中に私はいた。
千葉県浦安市舞浜。駅を降りればすぐ目の前に広がる夢の楽園、デスティニーランド。
年間来場者数は1800万人を越え、一日の平均は約5万人。加えて、今日のように祝日ともなればその数は8万人にも及ぶとも言われている。
そんな多くの人で溢れ返る場所で、私は複数の友人を連れて、日々のストレスをも忘れ朝から充実した一日を過ごしていた。
そうして丁度、『星間飛行』と言う名のジェットコースターを楽しみ終えた私達は、残り10分で始まるテーマパーク最大のパレードを最初から観るために全速力で走っていた。
「ねぇ、あゆみ、ほんとに間に合う? ここから対角線上にある場所からパレード始まるんだよ?」
「まこ、大丈夫。走れば間に合うよ、たぶん」
「ちょ、たぶんって!」
周りのみんなはそうやって会話を弾ませながら走るのに対して、運動音痴な私は、すでに息を切らしながら走っているので会話に混ざる気力すら起きなかった。
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