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やっぱり舞莉は可愛いな、と思いながら「ちゃんといい子にして待ってろよ」と言い電話を切った。
目の前にいる藍威はキョトンとしていて、誰と電話をしていたのか気になっているようだ。
奏汰「俺の弟だよ。久々にこっちに戻って来ることになったから、迷子になってないか心配してたみたい」
苦笑いしながら言うと、「そ、なん…だ。」と藍威の声がした。
『もうお昼時だし、そろそろ、か…。』
携帯の時計を見ながら、時間の流れが早いことに驚く。
8時に家を出たのだが、もう11時だった。
奏汰「ごめんな、藍威…もういかなきゃ…」
申し訳なさそうにそう告げる。
すると藍威は寂しそうな顔はあまり見せず、優しい笑顔で「ぅ…ん」と頷いた。
そうだよな…落ち込んじゃいられねぇよな…。
それに、"また会える"って約束したしな…
「それじゃあ、またな」と別れを切り出そうとしたとき、そっと藍威に抱き寄せられた。
奏汰「っ…え……?//」
藍威の甘い匂いがして、身体に伝わる温もりと鼓動が心地好い。
ついボーッとしてしまっていると…
「ねぇ、お母さーん。あれって恋人なの?」
「こら!みちゃダメよ!」
と言う会話をしている、親子二人が通って行った。
その子供はまだ、「お幸せにー!」とニコやかにこちらを見ている。
……………なんてことだっーーー!!
ここって住宅街じゃんっ!
やべぇ…はず///
思わず顔を真っ赤にして、そわそわとしてしまう。
そんな俺をみて藍威はクスッと笑い、俺の頬っぺに一つキスを残した。
奏汰「ひゃ、ぁ//」
いきなりのことに動揺し、変な声が出てしまった。
そんな俺の隣で、藍威は満足そうに俺の頭を撫でた。
藍威「キ、ス…とく…べ、つ。……ま、た…ぁお」
最後に爆弾発言を残し、走って消えていってしまった。
『キスが特別って……』
胸の高鳴りが止まらず、心臓のある左胸の方に手を置いた。
ドクン、ドクン―…と脈を打つスピードが早い。
顔が火照っており、頬に手を当てても熱かった。
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