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「死神本を読むとなかなか面白いですよ。死の考察にもつながる」
「じゃあ、おすすめの本はどれなんですか」
「おすすめといえば全部なんだけど、しいていうとこちら」と奥の棚を指さした。
そこにいくとその本棚いっぱいに『死神のすすめ 市仁上博士』という本がならべられていた。
「死神のすすめ……」
「そう。なにをかくそう私が書いた本でね。出版したわけですよ」
「えっ、そうなんですか」
「でも、なかなか売れなくってね」
私はその本を手にとって見た。死神の由来、死神の歴史など目次にある。
「よかったらもっていっていいですよ」
「くれるんですか」
「買ってくれるなら、嬉しいけど」
「いや、それならいいです」
「じゃあ、あげますよ。本は読まれてなんぼ。読まれずに本屋に置かれていても仕方がない」
「じゃあ、もらっときます」と頭をさげて店をでた。
しかし、おかしな本屋もあったものだと思った。
私はそのあと予定通り、電車に乗って電器店街をぶらぶらして夜には家にもどった。寄り道したので市仁上堂書店の前を通らなかったので、家に帰ってカバンを開けてみて『死神のすすめ』がでてきて、そのときになって本のことを思い出した。
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