大切なあなた

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ガラス越しに探す。逢いたかった我が子。やっと見つけ涙がこぼれ落ちる。 看護士さんが気づき、 「お父さんですよね。抱っこしてあげて下さい。」 母親の知恵と一緒に何度も病院に来ていて、看護士さんも顔を覚えてくれていたのだ。 小さな命をそっと腕の中に包み込んだ。 「あ、固まった。」 知恵が隣で夫の静弥のぎこちない様子を見て笑った。 「小さい…」 他に気の利いた言葉が言えなかった。ただ、感動の円の中心。
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