明けない夜はない…の?

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知恵は、何も言わない… ジローの顔も見ない… ただ、一点を見つめ、表情を隠している。 「生まれ変わりたかった。 知恵のそばにいたいから… あんな俺、知恵に知られたら… きっと… いつの間にか、身にまとった鎧はなくなり、ただ知恵の事だけを考えて… 自分勝手なのはわかってる。 立場を利用してあんな事してたんだから。 でも、今、知恵がいなくなったら…俺は…」 それ以上、ジローは話さなかった。 「もう…二度としないで…」 知恵が口を開いた。 ジローは頷く。 「先にお風呂に入って来て。 私、ここを片付けて入るから…」 そう言って、知恵は立ち上がり、テーブルの上を片付け始めた。
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