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そんな幸せの中、ある噂が知恵の心を突き刺した。
静弥が他の女性と一緒に暮らしていると言う事だった。
もちろんただの噂だと思ったが、思い当たる節はいくつかある。
会社の寮に居るからと、部屋に行った事もないし、夜遅くの電話にはほとんど出ない。
「俺、早く寝ちゃうんだよね。」
とか言って。
でも、知恵は問い詰める事はできなかった。もし、その言葉を口にしたら、もう2度と静弥と会えなくなってしまいそうだったから。
それほどまで彼を愛してしまっていたから。
苦しい日々が続いた。静弥を返したくなくて、自分からホテルに誘った。
でも、もう、限界だった。
この苦しみから逃げ出してしまいたい。そう思うようになっていた。
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