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「答える気はない」
な……ッ!
「違うな……。今はまだ答えられない、と言った方が正しいか……」
「…んだ、そりゃ」
「楽しみが減るのは困る」
「…………」
《死神》は、いたって真面目に答える。
それこそ、意味不明だ。
ふらふらと宙に漂いながら言われても、説得力は皆無だ。
それでも、《死神》はヘラヘラと笑いながら更に口を開く。
「まぁ、近い内に分かるさ。……どうしても気になるなら、学園内でも探してみたらどうだ?」
――4月30日――
影時間は、変わらずやって来た。
辺りは緑色に染まり、月は怪しく光り輝いている。
「シンジ」
俺をそう呼ぶのは1人しかいない。
俺と同じくペルソナ使いで、かつての仲間で、幼なじみのアキだ。
トレードマークの赤いベストの下から、胸元を固定するギプスが顔を覗かせている。
また、無茶でもしたんだろう。
懲りねえ奴……。
「やっぱり、ここにいたのか。シンジ、無気力症のことは知ってるな?その症状を発症させた人間について知りたい。じゃ!明日、辰巳記念病院で待ってるからな!!」
「おいっ……!…………はぁ。もう、行っちまいやがった……」
アキは伝えることだけ伝えて去って行く。
昔から変わらない……ガキのまんまだ。
「相変わらずだな、真田 明彦」
「《死神》……。お前…」
知ってんのか?と聞こうとも思ったが、止めた。……こいつは、知ってんだろう。
「ところで、行くのか?」
「ああ。後々、面倒になるからな…」
「…………なら、明日だな」
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