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明日……?
「ああ。明日になれば分かるさ」
《死神》はヘラヘラと笑う。
何か企んでいるのだと分かるが、考えんのは面倒だ。
もう、休もう……。
――5月1日――
アキに言われた通りに、最近流行りの無気力症の奴らについて調べた結果を知らせに、辰巳記念病院へと足を踏み入れた。
ロビーには、ぐったりした奴を連れて来た人間でごった返していた。
受付に見たことのある赤ベスト。
……アキも来たばかりみてえだな。
「シンジ!」
「…ったく、おら行くぞ。荷物よこせ」
「これくらい平気だ!」
「馬鹿が……」
強くなりたいのは分かるが、強がってちゃ意味ねえだろ……。
まぁ、言っても聞かねえのは昔からだ。
もう何も言うまい。
「調べたか?」
「…ああ。全員とまではいかねぇが、大半が溜まり場にいる連中みたいだな」
「………………そうか」
受付で指示された病室に着く。
ガララ…と扉を開き、一番奥のベッドの脇に荷物を降ろした。
「ところで、シンジ。……お前、戻って来る気はないのか?」
「ああ?」
「いつまで過去を切れずに過ごす?いい加減、戻って来い!」
「……俺は」
「真田さーん。診察を始めますので、第2診察室まで来てくださーい」
ナースに促されるがまま、アキは仕度を始める。
そして、無言のまま病室を後にした。
そんな去り方をされると、帰るに帰りにくいじゃねえか……。
「《死神》……いるか?」
「おう」
「なんで姿、消してんだ?」
「病院には“見える”奴らが多いからな。人間も、人間だったモノも、人間を狙うモノも……。面倒事はたくさんだ」
大変なんだな。
「さて、もうそろそろだな」
「…………?」
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