夏の夜の……

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――6月6日―― そろそろ蒸し暑くなる季節。 だが、今の俺にはコートが手離せない。 今年は空梅雨らしく、肌寒くならないのだけが救いだった。 「今日は集会だったか……」 いつもの場所。 忘れてしまいたい場所は、今ではチンピラや不良たちの溜まり場へと姿を変えている。 決まって土日には、何組かのグループが集会を開いていた。 「……今日は一段と騒がしいな」 覗き見ると、そこには月高の制服姿があった。 見て分かるのは、チンピラの威嚇にたじろいでいる男の姿。その後ろには気の強そうな女がいた。 知らずに来た……そんなところか。 チンピラの拳が見事に腹に決まる。 やり過ぎない内に止めてやるか。 「それくらいでいいだろ。 知らねえで来てんだ。俺が追い出す。いいだろ、そんで」 「今さらそんで済むかよ!」 久々の獲物に興奮してやがんのか、邪魔する形になった俺に向かって振りかぶる。 シャドウと比べたら鈍いもんだ。 この程度なら、俺でもカウンターくらい決められる。 「テンメェ……今、三途の川渡ったぞ!ただで帰れると思ってんのか!?」 「……試すか?」 どのみち、棺桶に体半分を突っ込んだ状態だ。いくらでも相手してやるよ。 どうやらチンピラたちは俺のことを知っているようだったが、結局、時代劇なんかでよく聞く捨て台詞を吐きながらその場から消え失せた。 「スゲーッス!先輩、つえーッス!」 聞き覚えのある声に体が反応する。 「その顔……お前ら、アキの病室に居た…」 ……確か、アキの仲間。
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