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俺の力……“ペルソナ”は、その頃はまだ慣れていなくて……。
暴走した。
シャドウ消滅と同時に治まる程度の軽いものだったが、その際に近くにあった家をぶっ壊してしまった。
新聞やニュースでは、トラックが突っ込んだことになっていたが、俺の罪悪感は拭えないまま……。
「湿気たツラしてんな~」
俺に話しかけて来たのはヤツが初めてだった。
「……せっかく“力”があんのに、全然使ってないみたいだな」
「誰だテメェ」
ソイツは、声をかけられたことに驚いているようだった。
「……………お前……オレが見えるのか?」
何を言ってんだ?
ん?……コイツよく見れば、なんか薄くないか?
向こうが透けて…………
体も浮いて…………
…………………………。
「¥£@§★◇¢#っ!?」
「あー……違う違う。ユーレイじゃないって。
……それより、人が見てるぞ」
どうやら周りのヤツらには、コイツの姿は見えていないらしい。
―――それにしても…コイツは何者なんだ。
どうして“力”のことを知っている?
「オレは《死神》。
世間でいうのとは少し違うが、まあ、やってることは似たようなもんだ」
「しにがみ……」
「お前、オレが見えてるってことは、どういうことか分かる?」
そのくらいは分かる。
俺の命があとわずかってことだ。
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