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な………ん、だと………?
「欲しかったのでしょう?“この薬”が」
「なんのことだ」
「我々にも見えるのですよ。貴方の側にいる《死神》を名乗る彼が…ね。
彼が教えてくれたのです。
貴方が、ペルソナの力を抑えたがっている……とね」
《死神》には何の反応も起きない。
後ろめたさが無いが故なのか、それとも表情に出さないだけなのか……。
どちらにしろ、タカヤが嘘を吐いているようには見えなかった。
「どういうことだ《死神》」
「役割を果たしただけだ」
「……………」
役割……?
「我々は、復讐代行を生業にしています。世間では“ストレガ”と呼ばれていますが、我々は“世間”というモノに感心がありません。
情報が欲しいのですよ」
「だからって、何で俺なんだ。感心があろうが無かろうが、テメェらで調べればいいじゃねぇか」
「それは出来ません。
万が一にでも、復讐する相手に顔を知られてしまう可能性がある……。
その代わり、協力していただけるなら、この薬を定期的に提供しましょう」
最初から、俺以外に頼むつもりは無いらしい。
受けてみてもいいかもしれない……。
少しでも楽になるのなら……。
「分岐点だ」
《死神》の声がしたかと思った瞬間、目の前が真っ白になる。
比喩的な意味ではなく、本当に白だけが広がっていた。
「ここは!?」
よく目を凝らせば、椅子やテーブル、本棚にはぎっしりとさまざまな大きさの本が詰まっている。
全てが白い………………部屋?
「ようこそ。時の狭間へ」
「《死神》!なんだここは!」
「精神と物質、夢と現実、光と闇、神と人……それら全ての狭間にある世界。
時の狭間………そう呼んでいる」
トキノハザマ……………。
どこかで聞いたような気もするが、そんな記憶は無い。
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