47人が本棚に入れています
本棚に追加
「そのくらいにしたらどうだ?」
その声に男達は後ろを振り向く。
智也も必死に目を開いて、その視線の先を見た。
するとそこには、やはりあの青年がいた。
「何だお前!」
他の男達が刀を抜き、青年に近づく。
青年は顔色ひとつ変えず男達を見て言った。
「子供相手に多人数とは、お前たち、藩士ではないな。」
「俺たちを疑ってるのか?」
「そうだとしたら、どうする?」
頭にきた男たちは、青年に刃を振るった。だが、青年はそれを軽くかわした。そして、男たちの腹に峰打ちをくらわせる。
「ひぃっ!わかった!この餓鬼にはもうなにもしねーよ!」
力の差を知らされた男たちは逃げていった。
「大丈夫か?立てるか?」
稀恭は智也に声をかけた。
「はい。なんとか。」
少し咳をしながら差しのべられた青年の手をつかむ。
「ありがとうございます」と言おうとした時だった。不意に目の前に影が移る。
「バカめ!油断したな!」
隙をつこうと男が青年の背後を取る。
後ろを振り向かない青年。気づいていないのだろうか?
殺されてしまうと思った瞬間、智也の体は二人の間に立ちはだかった。
最初のコメントを投稿しよう!