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しかし、青年は智也の腕をつかみ、男の刃を共に交わした。
刀を振り切った男の隙を見逃さず、青年は男の顔に蹴りを入れた。
その場に倒れこんだ男は、起き上がることはなかった。
「しばらくは起きて来ないだろう。」
そう言って、青年は睨むような目で智也の方を振り向いた。
「何故ここにいる?ここは裏の人間や荒くれ者達が集まる場所だ。早く出ていけ!」
「なっ!?そんな言い方ないだろ?気付いたらここまで来てたんだから。」
にらみ返す智也に青年はため息をもらした。
「じゃあ、案内してやるよ。」
青年は智也を担ぎ上げ、歩き出す。
「やめて!下ろして!」
「ただ、近くの町まで連れてくだけだ。大人しくしてろ」
「別に連れて行ってくれなくてもいいよ。帰る家なんてないんだから……。」
黙りこむ智也を青年は下ろし、乱れた服を整えてくれた。
そして、 優しく智也の頭を撫でる。
「すまない。酷いことを言ってしまったな。」
頭を撫でられながら智也はまた、あのときの感覚に襲われた。
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