誓いの小太刀

10/24
前へ
/69ページ
次へ
しかし、青年は智也の腕をつかみ、男の刃を共に交わした。 刀を振り切った男の隙を見逃さず、青年は男の顔に蹴りを入れた。 その場に倒れこんだ男は、起き上がることはなかった。 「しばらくは起きて来ないだろう。」 そう言って、青年は睨むような目で智也の方を振り向いた。 「何故ここにいる?ここは裏の人間や荒くれ者達が集まる場所だ。早く出ていけ!」 「なっ!?そんな言い方ないだろ?気付いたらここまで来てたんだから。」 にらみ返す智也に青年はため息をもらした。 「じゃあ、案内してやるよ。」 青年は智也を担ぎ上げ、歩き出す。 「やめて!下ろして!」 「ただ、近くの町まで連れてくだけだ。大人しくしてろ」 「別に連れて行ってくれなくてもいいよ。帰る家なんてないんだから……。」 黙りこむ智也を青年は下ろし、乱れた服を整えてくれた。 そして、 優しく智也の頭を撫でる。 「すまない。酷いことを言ってしまったな。」 頭を撫でられながら智也はまた、あのときの感覚に襲われた。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加