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「だからって、刀なんかを……」
「いいか、成城。人を殺す道具なんていくらでもあるんだ。周りの木や枝も使いようでは人を殺せる。ただ、そこに、心があるからその存在が変わってくる。」
「心……?」
その時、稀恭が足を止めた。
それに気付いた智也も足を止める。
前を見ると、小さな橋がありその向こうには町が見える。
「もう少し、そこに隠れている心を見るようにしてみろ。そしたら、もっと強くなれるんじゃないか?」
「稀恭……。」
「ほら、偶然か町についたから行けよ」
そう言って、稀恭はくわえていた煙管 で町の方を差した。
「そうだね。わかった!ありがとう稀恭。稀恭に会えてよかった」
覚悟を決めて、智也は橋を渡った。
だが、その途中で再び智也は稀恭の方を振り返る。
「あのさ!……また、会えるかな?」
少し不安そうに稀恭に問うと、笑って答えてくれた。
「あぁ、いつかな」
その言葉を聞いた智也は、嬉しそうに笑い橋を再び渡った。
智也の姿が見えなくなったころ、稀恭も再び森の中へと姿を消した。
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