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結局、その後、彼の屋敷へは戻らず、近くの宿屋で一晩を過ごした。走り疲れていたし、日も暮れていたからだ。
今日こそは、戻ろう。智也は心の中で呟いた。
さっそく、布団から起き上がり出かける支度を整える。
屋敷女将に一言お礼をいい、彼の屋敷へと向かった。
"これはお前や母さん、仲間を守る大事な刀だ"
今ならその言葉がわかるような気がした。
昨日、襲ってきた男の振るった刀とはあきらかに違う。
これが心の違い。想いの違いだ。
「帰ったら、おじいちゃんに謝ろう」
智也がそんなことを考えている時だった。
とある近くの物影から声が聞こえてきた。
「おい、奴は見つかったか?」
「あぁ、町外れにあるぼろ屋敷にいるのを見た。」
何かの密会だろうか?
「では今から準備が整え次第、捕まえるぞ。」
「もちろんです!小鳥遊の野郎を必ず捕らえて見せます!」
何かの冗談か?この人たちは、本当に稀恭を捕まえようとしているのだろうか?
そんなことを思いながら隠れて話を聞いていると、今日の夕方に作戦を実行するとの情報を得た。
──早く、稀恭に知らせないと。
稀恭の身の危険を悟った智也は、先ほど、二人がいっていた屋敷へと向かった。
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