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時は幕末。
季節はもうすぐ春を告げようとしていた。
とある山奥にある小さな村に一人の少年がいる。
彼の名前は成城智也(ナリシロ トモヤ)。
今日、智也はとある作戦を実行していた。
「ここまで来れば大丈夫かな?」
自分の家を抜け出し村外れの橋で一息つく。
荒い息を整えると、智也は汗を拭い止めた足を再び前へ進めた。
「おじいちゃん、心配してるだろうな。でも、わかってくれるよな?」
智也の住んでる家にはおじいさんとおばあさんが住んでいる。両親は住んでないので三人暮らしだ。
5年前、両親は殺された。それから身寄りのなくなった智也は、父方のこの家に引き取られた。
両親が殺されたせいか、なかなか外へ出してはくれなかった。隣町なんて行ったこともない。
だから、智也は今日こっそりと町へ出かけようとしていた。
いつもは、おじいさんに見つかって叱られるのだけれど、今日はうまくバレずに抜け出せたらしい。
「うわぁ!キレイ!あれが海…。」
長い山道を抜けると海の見える町が見えた。初めて見た海に目を輝かせながら、智也はその町へ向かった。
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