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智也は立ち上がり少し彼と距離をとる。
「僕は帰らない!また、引きこもり生活に戻るなんて嫌だ!」
「まぁまぁ、落ち着きなさい。私も無理につれもどすつもりはないよ。」
「ふぇ?」
てっきり力ずくでも連れ戻されると思っていた智也は腑抜けた声を漏らした。
彼は、そんな智也の手を握りると。
「では、私の屋敷へ行こうか!」
「ちょっと!えっ?」
半ば無理やり自分の屋敷へと連れていった。
静かな町の中に彼の屋敷は建っていた。
その一室に智也は案内される。そこから見える庭は広く池もあり風情だ。
彼は、見せたいものがあるから待っていてほしいと言い部屋を後にした。
「さっきの賑やかな町と違って、静かなところだなぁ。……?」
智也の目に、ふと庭にある一本の桜の木が写る。
──あれ?あの桜の木、見覚えがあるような……。いや、桜の木なんて何処にもあるじゃないか。
「やぁ!お待たせしたね!」
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