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だからカナは
駅からほぼ10分、
駅からの帰路で計算するとおよそ3つめの自販機で
きっかり140円、すべて10円玉で14枚を細い横スジのワレメからゆっくりとテンポよくチャリン、チャリンと音を鳴らしながら投入していく。
そして、すべてを投入仕切ったことを確認する赤い電子数字が自販機の投入額に表記されると、
その表記された音と同時に
お茶のレプリカの下にある青い光を発するボタンを親指で押し込む。
ガタン、自販機が振動し
お茶が出てくる、と同時に電子数字が回転しながら数値を変える…。
ぴぴぴぴ…ピーッ!
静かな住宅街、
車が通らない中を音が大きく響いていく。
当たりである。
別にタイミングよく当たったわけでは多分ない。
極端に当たりやすい自販機であるからだ。(きっと)
彼女はもう一本、今度は小さいサイズの同じお茶を選択しそれを手に取るとバックの中に入れた。
さて、帰ろう。
彼女はそのまま左向け左をする、
この瞬間までが彼女の平凡。
それもこれでお別れだ。
彼女が顔をあげると、
そこには女が立っていた。
「キャっ!?」
背筋をびくりと反応させて
反射的に後ろにバランスの悪いステップをとる。
バランスの悪いせいで一歩二歩足が余分なステップを見せる。
とりあえず、距離をとれた。
余分な2、3歩を含めたわずかな2、3メートルの間隔で先程視界にはいった女性を見る。
…が、いない。
(見間違い…?)
彼女は疑問になりながら首を傾げる。
その首に何かが当たる。
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