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冷たい何か…やや細くて…棒の様なものが連なっている。
嫌でもわかった。
ホラー映画とかならほぼ鉄板と言ってもいいあれ。
一瞬の出来事を気のせいだと思うと何かを感じて、
そして振り返ると…。
…嫌だ嫌だ。
振り返りたくない。
それにこういうホラーは苦手だ。
実際に今、その状況なのだから苦手も何もないのだけれど。
その思考の傍らで彼女は、同じ約数十秒でふと作戦を思いついた。
今更ながらコーラでも買っておけば良かったと
しようのない後悔を心で呟きながら、彼女はゆっくりと姿勢を低くする。
肩と首筋に挟まったソレも動きに合わせまるでひっついているかのように動きに違和感なくついてくる。
彼女はその体制を維持しながら右手で鞄から小さいサイズのお茶を取り出すとお茶の口を開け一気にソレの方へと噴きかけた。
大きい口のタイプのおかげで勢いよく出たお茶に驚いたのかソレは一瞬身体から離れた。
(今だっ!)
カナは前方に低い姿勢のまま走り出そうとした、が!
その瞬間に勢いよく足を引っ張られ、
そのままコンクリートの路上にプレスされる。
「ゲホッ!」
あまりの勢いに胸が、呼吸が苦しくなる。
助けて!
そう言いたい、けれど痛みと恐怖で身体も口も動かせなかった。
出来てせいぜい身を小刻みに震わせるだけ。
すると突然髪をかきあげられた。
覆っていた髪が離れたことにより首の地肌があわらになる。
その瞬間、どことなく吹いた風が暖かく感じられて、
首もとに血の気が戻った気がした。
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