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「いでで…、やっぱりこうなるのかぁ。」
力無く身体を預ける少女を身に受けながら、
彼は右の首筋を手でさすった。
首筋に当たった手が動く度に、
流れるソレが首筋にべったりと伸ばされる。
「…まったく、ついついやっちゃったけど…大丈…うぇ?」
少し足が動いたその振動で少女の被っていた帽子が
ぽすりと地面に落ちる。
その時、彼は初めて少女の顔を見たのだが、
その顔は顔にとって見知った顔にそっくりだったために拍子抜けた声がふと出てしまった。
そのことに気づくと、
誰かが見ているわけでもなく、
彼は直ぐさま咳ばらいをし首を左右に振って自分の意識をわざと散漫させた。
一息つくと彼はぽつりと呟いた。
「…むぅ、困ったなぁ…(^-^;」
後頭部をわしゃわしゃと
かきながら彼は欠けていく十六夜月を見上げていた。
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