如何なる運命の元でも

2/14
前へ
/14ページ
次へ
ある小さな里で、あたしは生まれ、生きてきた。 里の中以外の場所は、全部 ”外“ とくくられるくらい、辺鄙なところ。 山と、細い川の合間の平野に、ぽつりとできた里。 大きな街道からすら外れてるから、よそのヒトなんてすごくめずらしい。 せいぜい、隣村の人が週に1回とか、商いに来るぐらいのもので。 里ではみんな、畑を持ってたし牧畜もしてたし、ミルクだってヤギを飼ってたから飲めた。 あたしは牛乳の方が好きだけど‥‥、みんなで働いて、なんとか自給自足はできてる感じ。 だから子どもも、小さい時から遊びの一部として働くことを教えられて、大きくなったらちゃんと仕事した。 あたしも、家畜の番をしてたんだよ? お日さまと一緒に起きて、眠って。 遊んで、仕事して、大きくなって‥‥。 それで全部なんだ、って思ってた。 明日も一緒で、一か月後も、一年後も、ずーっと同じなんだって。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加