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ある小さな里で、あたしは生まれ、生きてきた。
里の中以外の場所は、全部 ”外“ とくくられるくらい、辺鄙なところ。
山と、細い川の合間の平野に、ぽつりとできた里。
大きな街道からすら外れてるから、よそのヒトなんてすごくめずらしい。
せいぜい、隣村の人が週に1回とか、商いに来るぐらいのもので。
里ではみんな、畑を持ってたし牧畜もしてたし、ミルクだってヤギを飼ってたから飲めた。
あたしは牛乳の方が好きだけど‥‥、みんなで働いて、なんとか自給自足はできてる感じ。
だから子どもも、小さい時から遊びの一部として働くことを教えられて、大きくなったらちゃんと仕事した。
あたしも、家畜の番をしてたんだよ?
お日さまと一緒に起きて、眠って。
遊んで、仕事して、大きくなって‥‥。
それで全部なんだ、って思ってた。
明日も一緒で、一か月後も、一年後も、ずーっと同じなんだって。
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