如何なる運命の元でも

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ある時、”外“ のヒトが来た。 あたしたち子どもは、外の人が好き。 だって、外の人はいつもなにかを、退屈な里に持ってきてくれたから。 お話とか、品物とか。 だけど、上から下まで真っ黒の格好をして、見たことのない大きな獣を二頭も連れたそのヒトは、子どももみんな恐がった。 牙をむき出しにしてよだれを垂らすケモノは、あたしたちを食べてしまいそうですごく怖かった。 だけど、見上げても顔色がよく見えないほど背の高い、真っ黒のヒトの目は‥‥赤くて、もっと怖かった。 そのヒトは、里の人たちの不安を余所に、里のはずれに居座ってしまったんだ。 ”いつも通り“ の日々は、この日で終わってしまった。
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