如何なる運命の元でも

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あの人たちは、そんな状態の里に、来てしまった ━━。 里に訪れた、なんだか重そうな格好の、三人の人。 緊張の走る里の大人の問いに、魔物を狩る旅を続けている戦士だと、名乗った。 里の様子のおかしさにはすぐに気づいたみたいだったけど、逃げ出さずにちゃんと話を聞いてくれた。 『おそらくそれは、上位の魔物でしょう』 背の高い女性は、そう答えた。 魔物に立ち向かう力なんて、里の誰ひとりとしてあるわけがない。 里を捨てるしかない‥‥。そんなささやきが漏れたけど ほんとはみんな、同じことを思ってた。 里に産まれ、里に生きてきて‥‥里を捨てるなんて、そんなことできないって。 お願いです、どうか里を‥‥。 そう懇願する里人(さとびと)を前に、旅人たちは困ったような、戸惑ったような顔をしていた。 「私たちでは、その魔物には適わないかもしれません。  そうすれば、里はもっとひどいことになってしまう。  私たちが帰って来られなかったその時は、必ず里を離れて逃げると、約束してください」 しばらく仲間の三人で話し合ったあと、戦士たちはそう言ってくれた。
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