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 死体を見た。  生々しいほどに痛々しくて、痛々しいほどに生々しい。  何を言っているのかわからないと思うけれど、本当にそう言う他になかったのだからそう言ったまで。  孤独死、というものが最近になって問題視されているのはぼくも知っていたはずだったのに、自分がその現場に出くわしてしまったときの衝撃に、孤独死問題というフレーズをいつどのタイミングのニュースで聞いたかなんてことは全く関係のないことであった。  兎に角死体。  死体、なんだよな?  動かないものを生きていないものと決め付けるのも難解だけれど、動いているものは少なくとも生きてるだろう。  だから小突いたのだ。  鼻腔を直に殴りつけてくるような激しい臭いに悶えながら、玄関先にあった箒でこつこつと、二度だけ。 「硬い……。死後硬直とか言うもんな……」  だから?という言葉がぼく声でぼくの脳内を埋め尽くす。  うん。  だから?  じゃあ死んでるのか?  硬いものは、じゃあ死んでるっていうのか?  臭い部屋で硬いものは全部死んでいるのか? 「そんわけねえだろ……。うぇ…………っ!」  喉の奥を焼くそれを堪えるために、一度部屋の外へと駆け出した。 「ゲロ袋、いるかい?幕堂(まくどう)君」 「いらねえよ……」 「そうか?本当に?いるのではないかね?ゲロ袋」 「お前、吐かせたいんだろ……」 「よく分かったね。流石相棒」 「相棒を吐かせようとするのは相棒にあらず!」 「格言?」
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