第五章 ルービックキューブ

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   犯行時刻前後のビルの出入りは、警備の人間によって確認されている。その時間前に入館した者は、時間前に退出が記録として残っている。  だが、それには疑問が残っていた。  柿崎の捜査により犯行時間の前後、ビルの中にいた人間のアリバイが証明された。つまりビル内部の人間には、犯行は不可能という事になる。そうなると自然と、外部の者の犯行という事になろう。  捜査本部の方針としては、まだ内部の人間の犯行として。アリバイに穴が無いか、確認作業は続いているのだが。 「菊乃ちゃんは、アリバイの方じゃなく。ビルの出入りの方に、穴があると言いてぇのか」 「いえ、もしもそうだったなら。犯人の特定は、難しいものになってしまうと……」 「確かに、そりゃその通りだ」 「警部補は、どのようにお考えですか」 「外の人間の可能性は、やっぱり低いだろうな」  そこで酒出は、一旦ルーティーンを止めた。
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