第五章 ルービックキューブ

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   仕事もなく、それだけに没頭できれば別かもしれない。だが、仕事をしながらでは真相にたどり着くのは難しい。  梶原は、事件記者では無い。  そうしたノウハウも持っていなければ、片手間ではどうしようも無かったのだろう。 「何より、相手は大企業ですから」 「明確な証拠も無しにでは、取材すら受けてもらえないでしょうしね」 「はい。週刊誌のライターみたいに、噂だけで突っ込んで行けば。どうしても、社に迷惑がかかってしまいますから」  恋人の仇討ちと考える割りに、梶原は冷静だと矢次は思った。その反面で、これまで情報を隠してきた理由に関して。そこは、納得の出来る説明であったと思える。  彼女の為に、事件の解決を。  それを警察に委ねるか、自分で動くのか。足がかりとしては、間違った選択をしたのだろうが、心情として理解は出来る。 「どうか、真美を殺した犯人を逮捕して下さい」
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