第五章 ルービックキューブ

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   だが、客の入り具合からして繁盛しているようには思えない。ただ、料理が驚くほど美味い。  どうやって見付けてくるのか、酒出はこうした店を何軒も知っているようだ。  海老フライ。  帆立フライ。  ピーマンの肉詰めフライ。  ハムカツ。  ウズラの卵フライ。  確かに、ミックスフライではある。だが、少々珍しいラインナップの定食である。一方で、朝定食もボリュームのある一品であった。  焼き鮭。  目玉焼きに千切りキャベツ。  冷や奴。  納豆。  焼き海苔。  香の物。  これに、どんぶり飯と味噌汁が付く。流石に松本は、どんぶり飯を半分の量にしてもらった。  酒出は、帆立フライを口にしながら昨夜に振り返った事を、もう一度頭の中に思い浮かべてみる。小路のカウンターで、酒出は二人に問いかけた。 「この事件の始まりは何だ?」 「曽根崎 真美さんの殺害です」
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