第五章 ルービックキューブ

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  「そう、スマイル一番生命ビルの十四階と十五階をつなぐ、階段の踊り場で殴打され突き落とされた」 「死因は、脳挫傷です」  その模様が、防犯カメラの映像に残っており。犯行は、水沢 奈緒によるものと判断され。その身柄は、千葉西署に拘束された。しかし、奈緒にはアリバイがあった。  そのアリバイは、完全なものと断定され奈緒は捜査対象から外される。 「犯人の狙いは、捜査の目を水沢 奈緒さんに向けさせる事にあったんですね」 「あぁ、警察はまんまと振り回された」 「犯人の犯行後の行動は、未だに不明のままです」 「その通りだ。そんな中、捜査線上に真美の上司である沖 公一郎と、スマイル一番生命の顧客情報の漏洩が浮かんできた」 「そのどちらとも、事件との関連は今のところ不透明ですね」  酒出は、それに何気なく頷いた。  状況証拠からして、沖が顧客情報の漏洩問題に噛んでいそうである。
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