第五章 ルービックキューブ

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   酒出は、その条件を指折り数え提示した。  犯行時刻に、現場にいる事。  水沢 奈緒に扮し、防犯カメラに映り殺害を実行する事。  防犯カメラに映らず、現場から離脱し日常の業務に戻る事。 「それだけ、クリアすりゃいいんだからな」 「…………」 「ところが、外部の人間となると三つって訳にはいかねぇ」  ビルへの進入の際、警備の目を掻い潜る。  ビル内の防犯カメラに映らず、殺害現場に移動。  曽根崎 真美を殺害。  防犯カメラに映らず、現場から離脱。  警備員に気付かれずビルから退出。  大まかに言えばこの程度。だが、曽根崎 真美の日頃の行動から。ビル内の警備、防犯カメラの位置から水沢 奈緒の人物像まで、事細かに調べ上げなければならない。  外部の人間にそれが出来るのか。 「共犯者が内部にいりゃ、犯行が可能とか言うなよ。菊乃ちゃん」 「それが、沖氏なら……」
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