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「沖は、事件当日にビル内にいなかったんだぞ」
「ですが、諸々の情報を実行犯に伝える事は出来ます」
「確かに、そりゃそうだ」
酒出は、含みのある言い方をした。そして、松本の反論を論破する決定的な言葉を言う。
「あの日、曽根崎 真美が現場にいる事は、誰が実行犯に伝えたんだろうな?」
真美は、確かにあの場所で休憩する事が多い。
だが、それは必ずといった訳では無く、時には五階の食堂に顔を出す事もある。それは、料理長の大崎 道雄が証言している事実であった。
もしも、当日に真美が食堂に行っていたとしたら。苦労して進入した実行犯は、完全に空振りとなってしまう。
「警部補。それを言うのでしたら、ビル内部に実行犯がいても同じ事では無いでしょうか」
「確かにそりゃそうだが、沖の野郎が事件と無関係となりゃ話しは別さ。あの日に、計画を実行しようとしてなけりゃいいんだからな」
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