第五章 ルービックキューブ

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   常日頃、計画の実行のタイミングを狙っていた。それが、あの日だったというだけ。  遂に、松本は反論を止めた。  ビル内部の人間と外部の人間で、どちらが実行犯たる可能性が高いのか。どう考えても後者である。  ただ酒出の話しでは、沖は殺人とは無関係という話しになった。本当に、無関係なのか。  酒出自身、その考えには疑問を持っている。しかし、そう仮定して考えると、曽根崎 真美殺害については辻褄を合わせやすいのだ。  ルービックキューブ。  酒出の中で今回の事件のイメージは、そのパズルであった。一面を揃えるのは難しくは無いが。次の一面を揃えようとすると、最初の一面が邪魔して上手くいかない。  今回の場合、一面は固定である。  曽根崎 真美の殺害。  これは、動かしようのない絶対の事実であり。次の一面を、何の事実で固定するか。固定した事で、次の一面を固められなくなる。
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