第五章 ルービックキューブ

23/58
前へ
/320ページ
次へ
   そして、いよいよ許可を得て推理を披露する時が来た。喜び勇んだ酒口は、ここぞとばかりに語り出す。 「僕は、やっぱり。水沢 奈緒の双子という部分を、見逃しちゃいけないと思うんです」 「お前は、まだそんな事を言ってやがるのかよ」 「いいから、聞いて下さいよ。犯人は、彼女が双子だという事実に着目したと思うんです」 「それで?」 「警察が、双子という事実に翻弄される事を計算し。奈緒さんの姿で、殺害する事にしたんです」 「だから?」 「犯人は、曽根崎 真美さんと水沢 奈緒さんに近しい人物です」  酒口は、きっぱりと言い切った。  しかも、そこまで言っておきながら犯人を特定しない。それでありながら、推理は完結だという顔をしている。大体、水沢 奈緒に近しい人物だなど。今更言われなくても、状況からして分かる事。  少なくとも、同じビルに働いていれば、奈緒の存在は知っていて不思議は無い。
/320ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2144人が本棚に入れています
本棚に追加