第五章 ルービックキューブ

29/58
前へ
/320ページ
次へ
   その時、酒出の動きが止まる。 「まてよ、こいつは」 「警部補?」 「俺らは、とんでもねぇ見落としをしていたのかもしれん」 「えっ? どういう事ですか」 「説明は、待ってくれ。ともかく今は、確認する事が先だ」  そう言うと、酒出は自身の携帯電話を取り出すと電話をかける。  酒出は、自身の電話を滅多に使わない。大抵の場合、周辺の人間に連絡をさせる。そうでなければ、自分で話す場合でも、誰かの携帯電話を奪い取って話す。  このメンバーの場合、酒口の携帯電話が使われる事が多い。  逆に、自身の電話を使う時には、事件の真相に迫っている時であり。無意識に、そうした行動に出てしまっているのだろう。  大きな見落とし。  酒出は、何に気付き何を思いついたのか。小声で話している為、それが何なのか分からなかった。  酒口と松本は、その様子を黙って見るしか無かった。      
/320ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2144人が本棚に入れています
本棚に追加