第五章 ルービックキューブ

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             3    酒出たちは、北署の会議室に姿を現した。  捜査本部では、事件当日にビル内にいた人間のアリバイの再確認。その為に、防犯カメラの映像を再確認し。個々の位置から殺害現場まで、往復でかかる所要時間を検証している。  上座のモニターには、スマイル一番生命ビルの立体見取り図が映し出されている。  映像の位置から殺害現場まで。  女性の平均移動速度と距離から算出し、殺害後に確認された位置までの移動時間も確認する。それにより、殺害の実行が不可能であれば。一応、アリバイ成立とした。  どうやらその作業は、昨日まで行っていた個々のアリバイの検証より時間をかけているようだ。  立ち合う柿崎の顔にも、疲労の色が浮かぶ。  モニターを凝視するのは、長時間に渡るほど疲労を蓄積させる。その肉体的な疲労もさる事ながら、削られる集中力を維持する精神的疲労が著しい。
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