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何時間、こうしているのだろうか。
酒出たちは、なるべく音をたてないように会議室に入った。それでも、視線が飛んできた。
捜査本部というより、科捜研の分析を行うブースのような雰囲気。ささいな音でも、集中力を削ぐと進入者に睨みをきかせたのだ。そして、酒出だと認識する。
そこで初めて、柿崎を筆頭に表情を緩めたのだった。
「検証の進行具合は、思わしくないようだな」
「えぇ、警部補。どうにも、思わしくないですね」
「悪りいが、ちょいと俺の推理に付き合ってくれねぇか。根を詰め過ぎて、集中力が途切れがちのようだし。気分転換程度に、考えてくれりゃいい」
会議室内の全員が頭を下げた。
それを同意と判断し、酒出は上座のモニターの前に立つ。
そして、一同の顔を見回してから語り出した。
「今回のヤマは、色々と分からねぇ事はある。だが、まずはコロシのホシをあげる事を最優先したい」
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