プロローグ

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   保険会社のオフィスの窓から、一人の女性が人々を眺めて呟く。そしてオフィスを出ると、エレベーターホールから階段へと向かった。  曽根崎 真美。  彼女が勤務するのは、スマイル一番生命という、業界で一二を争う保険会社である。  そう、ここはスマイル一番生命の自社ビル。  真美は、そのスマイル一番生命の千葉営業所において。常に、ナンバーワンの実績を残す営業職。  いわゆる、生保レディである。  年末に向け、契約の取りにくくなる時期にあっても、真美は一人数字を伸ばしていた。今日も、その契約書のデータ入力など、社内の手続きをしているところ。  そして今、休憩の為にビルの階段へと来た。 「あぁ、涼しい」  ビルの中で、手軽に暖房から逃れるには、階段に行くのが一番である。一般的に、女性の真美が暖房から逃れるなど、あり得ないと思われる。だが、真美は暖房が苦手なのだ。
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