運命の出会い

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運命の出会い

「やばい!四時間目っ遅刻する…!」 授業開始五分前。 予鈴の音を耳に、俺は冷や汗をかいた。 広大な敷地を存分に使った、巨大な迷路のようなこの学校。 新入生は誰もが一度はこうなると聞いていたけど……まさしく。俺は今この瞬間、完全に『迷子』になっていた。 「泣きたい……何で忘れ物なんてしたんだろう」 入学して二週間。 早速できた友人も心配してくれたのに、大丈夫!一人で行けるから先に行ってて!…なんて自信満々に言ってのけたのはどこの誰だか…。 教室に忘れ物をして、一人で取りに戻ったのが馬鹿だった。 既に静まり返った廊下。こういう時に限って、どうして先生の一人も歩いてないんだ。 ついてないな…… 途方に暮れて、深い溜め息が漏れた。 ……よし、賭けてみよう。 あの角だ。あの角を曲がったら、人が居る。優しい人、希望。そうきっと、その人が助けてくれる。きっとその人は…… なんて馬鹿な事を考えながら、俺は曲がり角を目指して一気に廊下を駆け抜けた。 この先に、俺の学校生活を変える大きな出会いがあるとも知らず 俺はただ走った。 そして……。
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