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「七瀬先輩!!あの…!!」
昼休み。食堂で見つけたその人に、俺は弁当を片手に迷わず突進した。一言、言ってやらな……
「あー!!ハッチん!惜しかったね!僅差で負けちゃったでしょ~でもドンマイ!ハッチは頑張ったよ!!」
…ければならないのに。あまりにキラキラとした笑顔で振り向くものだから、何だか、調子が狂った。
言おうとしてた事が、どうでもよくなる程に…。
「……あの、先輩も授業中だったんじゃないんですか?」
「うん!でも自習だった!」
…成程。まあ七瀬先輩の事だから、自習であろうとなかろうとああなっていたとは思うけど。
「ハッチ、お昼一人?いつも友達一緒じゃなかった?何か面白い名前の子!」
「え?総司の事ですか?」
「あ!そうそう!近藤総司くん!一見普通の名前だけどよく聞いたら新撰組みたいな子!」
「あははさすが七瀬先輩、詳しいですね」
高校生活が始まってから、早いもので一ヶ月半。ようやくこの学校にも慣れて、迷子になる事もなくなった。
結局、俺はお茶部に入部する事になり、仲良くしてくれている友人も最近ようやく部活が決まって、日々に活気が表れ始めていた。
「ふっふっふ!僕は生徒会の広報担当だからね!この学校の生徒情報は網羅しているのだ!!」
「あ、じゃあこの情報は知ってますか?総司が最近、剣道部に入部したって」
「えー!!何それっ本格的に新撰組化じゃん!美味しい話!出遅れた!!」
「あははっそれ言うと本人怒るんで、あまり触れないであげて下さいね」
最近になって気付いた事は、俺の周りには個性派が多いと言う事。
「というわけで、総司は今日から部活の仲間と一緒にお昼を食べる事になったみたいです」
「えー!!ハッチ…フラれちゃったんだね…!!可哀想!!」
「えっいや、別に…今日はとりあえず飲み物を買ったら中庭にでも行こうかと思ってたのでいいんですけど…」
「でもちょうどいいじゃん!一緒に食べよーよ!」
この人は七瀬(ナナセ)先輩。お茶部の先輩で、二年生。生徒会にも所属していて、本人も言う通り、常に校内に旬な情報をお届けする広報担当!!…というこで、この学校については最強の情報通だと言われている。
「一緒に?いいんですか?」
「いいに決まってんじゃん!ハッチはお弁当?僕は今日のAセット~」
「あ、美味しそうですね~」
俺の情報を探り当てたのも、七瀬先輩だったらしい。
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