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「…あ!ギーン!こっちこっち!こっちだよ~!」
それから、七瀬先輩と言えば
「…何だ、シロも一緒だったのか」
この人。七瀬先輩に呼ばれてやって来たのは、同じくお茶部の二年生、三神銀河(ミカミ ギンガ)先輩。
始めに名前を聞いた時は、正直にカッコイイ!!って思ったんだけど…本人は自分の名前が嫌いらしい。
話によれば、部長の藤宮先輩に
『それってペンネーム!?』
と言われて、丸々二日間、塞ぎ込んでいた事もあるとか。
「あっお邪魔なら俺は別のとこ行きます!」
「は…?邪魔?何で」
七瀬先輩は明るくて本当に可愛い人だと思うし、三神先輩は銀縁眼鏡のよく似合う、インテリ系って言うのかな?二人は幼馴染みだそうで、いつも一緒にいる。美男美女で、見るからにお似合いカップルだ。
「だって、その…お付き合いされてるお二人の間になんて…」
「………はぁ!?付き合い!?馬鹿言うな!!誰が!!!」
…と思ったんだけど、違ったみたいだ。というより触れてはいけない部分だったのだろうか。三神先輩の焦りっぷりが尋常じゃない。
「あれっ違うんですか!?」
「誤解するな!!だいたいコイツはな!!じょそ…」
「ギーンちゃーん?僕アイスティーが飲みたいなー買ってきて!」
…あれ?今、三神先輩の言葉が七瀬先輩に思いきり遮られたような気がするけど、気のせいだろうか?
「…自分で買って来いよ」
「えー!いつも買って来てくれるじゃん!」
「……全く!!仕方ないな」
「やった~!いつものね!」
いや、気のせいか。二人は相変わらず仲が良さそうだ。うん、どう見ても、お似合いなんだけどなぁ…
「シロは?何かいるか?」
「え!?あっ大丈夫です!」
「別に遠慮しなくていいんだぞ?ついでだし」
「えっ!!いや……あ、じゃあ、緑茶をお願いします…」
「わかった」
三神先輩って、一見すごくクールで無感情そうに見えるけど…
「ギンって、優しいでしょ」
「え…」
そう、優しい人なんだ。普段、部活に参加してても一人で読書をしている事が多いけど、実は何かと皆の事はよく見ていて、色々と気にかけてくれている。
「やっぱり七瀬先輩もそう思いますか?」
「うん!アイツは昔からそう!口数も多い方じゃないし、口を開いてもぶっきらぼうだからさ、誤解されやすいんだよね。本当はすごく優しいのに」
七瀬先輩は、きっとそんな三神先輩の事が大好きなんだと思う。
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