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「聞いて!イッチャン…あ、黒崎の事ね!イッチャンていつもボーッしててさ、見てて色々と気が気じゃないんだけど…ギンがいつも何かと世話焼いててね!お母さんみたいなの!今日もちゃんと飯くらい食え!!って何か渡してきてるはずだよっ」
三神先輩の話をする時はいつも楽しそうだから、聞いてるこっちも楽しくなる。
「黒崎先輩…お昼食べないんですか…あ、そうか皆さん同じクラスでしたっけ?じゃあさっきの授業も一緒だったんじゃないんですか?」
三神先輩、七瀬先輩と同じく、お茶部副部長の黒崎先輩も二年生で、三人はクラスメイトだ。
「ううん、選択授業だったから!皆違う教室だったんだよ!ま、イッチャンはサボるとか言ってたけど」
「え!?サボり!?」
「イッチャンはサボりの常習犯だからね!」
黒崎先輩は先生受けも良いと聞いていたけど…そんなんで本当に良いのだろうか。七瀬先輩もいつも気が気じゃないって言うし、よく見てると色々心配になる先輩だったりする。
「…そういえば、七瀬先輩は皆さんの事、数字の方のあだ名で呼んでますね。他の皆さんは色の方で呼び合ってるのに」
「ん?そうだね~僕自身がナナちゃんって呼んで欲しいからかな!」
お茶部の部員は現在六人。
皆あだ名で呼び合うくらい仲が良い。まあ、名前に共通点がある仲間だから、という理由もあるらしい。
部長の藤宮修二先輩はフジ。
副部長の黒崎宗一先輩はクロ。
部長と同じ三年生の桃山五紀先輩はモモ。
三神先輩はギンで、俺はシロだ。
でも、七瀬先輩だけは皆からも"ナナ"って呼ばれてる。
七瀬、というのは名字らしいけど…そういえば、下の名前を聞いた事がないから、何色が入っているのかすら俺はまだ知らない。
何となく、聞けない空気だったりする。
「数字のあだ名も可愛いでしょ?シロちゃんは八沢だからハッチ。クロは宗一の1でイッチャン、モモ先輩は五紀の5でゴー君。フジ先輩は修二の2で、おニィ!!」
「え、お兄?」
「あははっ本人には"お兄ちゃん"って呼んでいいんだよ!!っていつも言われてキモイんだけどねー」
「ああ…何となく想像がつきました」
藤宮先輩はここだけの話、超のつく"オタク"らしい。何オタクかって…アニメとかネットとか。そう、俗に言う"アキバ系"というものだ。…まあ、ここだけの話にしなくても既に学校中に露見されている事実らしいけど。
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