1月1日

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「どういうこと…?」 いつのまにか敬語使うの忘れてるけど、歳も近そうだし気にするもんか。 それにこの人ってなんか、むかつく…。 「お前さぁ、綱引く力強すぎなんだよ!お前がゆさゆさ揺らすから屋根の底が抜けたんだろ!」 前髪をぴょこぴょこ跳ねさせながら、彼はまくし立てて来た。 「どうすんだ!俺の寝床の床に、穴があいただろーが!どうすんだ!誰が治すんだ!」 寝床? 今彼は寝床と言ったか。 「お前は俺が、誰なのかわからないから名前を教えたくないと言ったな?ああいいよ、教えてやるよ」 カー、とまた一声カラスが遠くで鳴いたのが聞こえた。 「俺は、」 彼の目がキラッと光った。 そしてたいしてドヤ顔もせず、いたって真面目な顔で続けた。 「神様だ」 まるでタイミングを見計らったように、冷たい木枯らしが落ち葉を巻き込みながら私達の間を吹き抜けていった。 よくわかった。 この人は、頭がおかしいんですね。
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