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「……とりあえず、お前の願いは把握してる、『彼氏が欲しい』だろ?」
ドキっと胸が鳴った。
こいつ、なんでそれを…
まさかほんとに神様なんじゃ。
「はっ」と鼻で笑う彼、いや神様…?
「なんでそれを、って顔してるな。
教えてやろうかあ、それはなあ。
………お前が、馬鹿力で鐘鳴らしてる時に、屋根裏までお前が叫んでんのが聞こえたんだよおお!この破壊女!!」
違うわ、やっぱこいつ、神様じゃないわ。
「おら、名前を教えろ」
私はにっこり微笑んで答えた。
「"いおな"」
「いおな、か。はあ、全くめんどくさい女だ……」
ぶつぶつ言いながらみかんをようやく拾い上げる彼の背中に、そっと心の中で呟いた。
残念、私の名前は千明だよ。
いおなは「破壊女」からとったの。
素敵でしょ?
……偽名だし!信じるもんかこの不審者が!!
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